おすすめの本

「見逃さないで!子どもの心のSOS」/明橋大二著

子どもが発しているSOSのサイン、見逃していませんか?
子育てハッピーアドバイスシリーズでも大人気の明橋大二先生の本です。
いじめや体罰、不登校、家庭内暴力・・・。 
何が子ども達を追い詰めているのでしょうか。
スクールカウンセラーで精神科医の明橋先生のわかりやすい文章がスッと心に入ってきます。

この本を読めば思春期の様々な問題に率直に向き合いながら、子どもの心のSOSに気づく力や解決へのヒントを得ることができるでしょう。

子どもの心の成長は甘え(依存)と反抗(自立)の繰り返し

体の成長や不調は目に見えてわかりますが、心の成長は目で見てもわからないし、不調はすぐには気づきません。
子どもの心は依存(甘え)と自立(反抗)の繰り返しで成長していきます。
十分依存することによって安心感を得ることができ、意欲につながります。
意欲が出た子ども達は自立へ向かいます。自立へ向かい始めるとその次は不安が生まれます。不安が強くなると安心を求めて「おかあさーん」と甘えます。
そしてまた十分な安心感をもらうのです。その繰り返しで自信をつけ自立へ向かっていくのです。

というように簡単に書かせてもらいましたが、この本ではその依存と自立の行ったり来たりをわかりやすく優しい言葉で説明されています。
小さなお子様がいる保護者様にもぜひ読んでいただきたい本です。

思春期の子どもとの接し方がわかる

思春期の子どもに対して一番簡単にできることは「話を聴くこと」です。
しかし思春期の子どもはなかなか親に話してきません。
だからこそ話を聴いて欲しい時にしっかりと聴いてあげることが大切です。
話を聴かずに一旦信用を失ってしまうと子どもは「どうせ親に話しても無駄だから」と親を当てにしなくなります。
そんな思春期の子ども達の話の聴き方や自己肯定感の育み方、「ありがとう」という言葉の重さがわかる内容となっています。

子どもがSOSを出してきたら・・・

不登校や引きこもりなど、子どもが精神的に疲れて心配な行動や症状を出してきた時の対処や要点が書かれています。

  • 経緯を把握する
  • 大変だったんだなと周りが現状を受け入れる
  • これ以上傷つけない

など細かく書かれています。
その他、ある不登校の生徒の体験談が書かれているのですが、学校の対応や心の動きが細かく書かれていたり、お母さんの素晴らしさが書かれていて涙が止まりませんでした。
家族の理解や共感がとても大切だとよくわかります。
何度読み返しても涙が出ます。

いじめについて

いじめによる苦しみ、思考、無力感、自己肯定感の喪失や相談する意欲の喪失などが書かれています。
子どもがいじめに遭って悪循環に陥らないために、親や周囲が心がけておくと良いことなどもわかりやすく述べられていて、学校でのいじめ対策の問題点やあり方などにも触れられています。

体罰についても触れられており、体罰についての大人の認識の甘さや体罰を受けた子への影響なども述べれられていて非常に興味深い内容となっています。

まとめ

最後の方には相談に来られた方からのQ&Aが26個も掲載されており、わかりやすく、読みやすくなっています。

また「射水いじめ防止プロジェクトチーム」がまとめた【いじめ対応マニュアル】も、全文掲載されています。

明橋先生の本はとにかく言葉や例えがわかりやすく、非常に読みやすくなっています。
この本は思春期に頑張っている子に焦点を当てて書かれていて思春期の子どもの心の叫びに耳を傾ける大切さを教えてくれる一冊です。
読み終えた時、自分自身も励まされた気持ちになりました。
親としてだけではなく、子どもと関わる仕事をしている上で忘れてはならないことが書かれている本です。ぜひ皆様に読んで欲しい本の一つです。